一問一答
業務マニュアルを使って、成果を上げる方法はありますか?
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業務マニュアルを使って、成果を上げる方法はありますか?
はい。あります。
成果につなげるためには、以下の手順で進めることが大切です。
①成果を定義する
②成果に直結する行動を特定する
③その行動を正しく行うためのマニュアルを作る
④マニュアルを見て、トレーニングする
⑤スキルを習得しているかどうかをチェックする
これらの手順について、事例を用いて解説していきます。
関東近辺に約60店舗を展開する、
ロードサイトに立地する大型のカー用品販売店の事例です。
まず、最初に行うべきは「①成果を定義する」こと。
成果には、売上や利益といった業績の指標もあれば、
人材育成の仕組みづくり、新人の即戦力化、
パートアルバイトの定着率向上などもあります。
ここでは何に向かって活動するのかを決定します。
先ほどのカー用品販売店では、繁忙期が近いこともあり
「スタッドレスタイヤの売上を増やす」と定義しました。
次に、「②成果に直結する行動を特定する」必要があります。
スタッドレスタイヤの売上を増やすことに直結する行動として
・スタッドレスタイヤの販売コーナーづくり
・スタッドレスタイヤに関する接客
・ピットでのスタッドレスタイヤの取り付け作業
の3つがあります。
行動が特定できたら
「③その行動を正しく行うためのマニュアルを作る」
を実施します。
上記の3つの中から
「スタッドレスタイヤに関する接客のマニュアル」を作成。
選定の理由は、
お客様に安心感を持ってもらうためには、
接客をより良いものにすることが重要と考えたからです。
スタッドレスタイヤを求めてご来店される方の多くは、
タイヤの知識がないため、
どの商品を買えばよいのかがわかりません。
「タイヤは安全性を確保する上で非常に大切なものだから、
高いものを買った方が良い気がするけど、高すぎても困る。
かといって、安いものを買うのも怖い。
費用は数万円もかかるため、失敗したくない」
そんなお客様に、車の利用頻度・方法にマッチした
スタッドレスタイヤの選び方をご案内することで、
安心感を提供したいと考えました。
マニュアルを作成する際の重要なポイントは2つ。
1つ目は、質の高い接客をマニュアルにすること。
一般的にマニュアルを作成する場合、
「基本的なやり方(=普通のレベル)」をマニュアルにすることが多いでしょう。
それは、新人がオペレーションを回せるようになることが目的だからです。
しかし、それでは「普通のレベル」の行動が再現されるだけで、
成果にはつながりにくいのです
成果につなげるためには、
「その会社での最高レベルの行動」をマニュアルにし、
全員がその行動を学び、再現することが大切です。
但し、行動を習得する難易度が上がります。
だからこそ、2つ目のポイントを押さえる必要があります。
それは、接客用のツールを作ることです。
スタッドレスタイヤの接客で最も難しいのが、
お客様に合ったタイヤを提案するシーン。
お客様と会話をしながら、
使用用途・利用頻度・走行距離・予算を聞き、
それにフィットしたタイヤを選定し、
そのタイヤの機能や特徴の詳細を説明します。
タイヤのメーカーは5社、タイヤの種類は16あります。
まず、これらの特徴を知るだけでも大変です。
さらに、それらのタイヤを用途・頻度・距離・予算の視点で比較し、
どんなタイプのお客様に合っているのかを整理するのも難しいでしょう。
スタッドレスタイヤの販売経験が豊富なスタッフでなければ、
お客様に合ったタイヤを提案すること自体が難しいのです。
だからこそ、接客用のツールを作り、それに沿って練習すれば、
お客様に最適な提案ができるようにすることが大切なのです。
今回、カー用品販売店で作成したツールは、
「商品選びのフローチャート」と
「タイヤの特徴がわかるポジショニングマップ」です。
これらを使って接客することで、必要な情報をお客様に質問しながら、
最適なスタッドレスタイヤを選ぶことができます。
このように「最高レベルの接客を再現するためのマニュアル」と
「その接客を習得するための補助ツール」がポイントになります。
マニュアルが完成したら、
次は、「④マニュアルを見て、トレーニングする」です。
当然ながら、現場は忙しいため、
何も工夫しなければ、トレーニングは進みません。
その対策として、学習計画を立てます。
しかし、それだけでは機能しません。
計画通りに実行できる人もいれば、できない人もいるため、
事務局が学習の状況を確認し、トレーニングを促進するように
働きかけることも必要でしょう。
最後に、
「⑤スキルを習得しているかどうかをチェックする」必要があります。
カー用品販売店では、星取り表(スキルチェック表)を使っています。
5段階評価になっており、
星1つは「全くできない」
星2つは「確認しながら作業ができる」
星3つは「1人で作業が完結できる」
星4つは「アクシデント対応も一人で完結できる」
星5つは「人に教える事ができる」
というようになっています。
今回は星3つの「1人で作業が完結できる」が合格基準となっています。
多くの人は「他者からチェックを受ける」という機会があると、
「失敗したくない」「恥をかきたくない」という心理が働くため、
準備しようとします。
スキルチェックの機会を設定することで、
トレーニングへの着手も促すことができます。
スキルチェックの結果を見える化するのも、
取組みを促進するのに効果があります。
さらに、実行度を高める方法があります。
それは、「キャンペーン」を活用する方法です。
カー用品販売店では、スタッドレスタイヤの販売キャンペーン
(10月~1月の4か月間)を行っています。
店舗のスタッドレスタイヤの販売本数を見える化し、
店舗目標を達成すると報酬が得られる仕組みです。
スキルの習得を個々人で終わらせずに、
組織全体の取組みとして進めることで、実行力が高まります。
また、一体感を生み出すこともできるでしょう。
このように定期的にキャンペーンを行い、
組織の体質強化を図っている企業もあります。
まとめ
業務マニュアルを使って成果を上げる方法は、
①成果を定義する
②成果につながる取り組みや行動を特定する
③その取組みや行動を正しく行う、より沢山行うためのマニュアルを作る
④マニュアルを見て、トレーニングして、再現できるようになる
⑤現場でマニュアルを見て学んだ行動ができているかどうかを確認する
上記①~⑤の手順で進めるとよいでしょう。
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